8 芸術
芸術にまで影響があるんですか?
目次
1 リヒャルト・ワーグナー
最後の作品は仏教劇として構想
クラシックの世界に熱狂的なファンを持つ、
リヒャルト・ワーグ
ナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813〜1883)は、オペラの名作
を幾つも残したことで知られます。ニーベルングの指輪は、演奏
に四晩かかる、史上最大の音楽作品であり、ローエングリーンの
「婚礼の合唱」は、誰もが一度は耳にしたことのある結婚行進曲
です。
ところが、古代印度の生活、中でも特に仏陀および托鉢僧から深
い影響を受けたと述べ、
最後の作品、パルジファルは、もともと
仏教劇として構想されていました。結局はそうなりませんでした
が、輪廻の問題を取り入れています。
また、未完成の作品「勝利者」は仏教の資料によって、美男にし
てお釈迦様の十大弟子の一人、阿難に恋した不可触民の美しき少
女プラクリティの伝説を扱い、次のように言っています。
リヒャルト・ワーグナー(Wikipedia)
|
(仏教のような)世界観に比べると、
どんな教説でもおそらく偏狭で、
固陋と思われないわけには行くまい。
|
固陋(ころう)……見聞が狭くてかたくなであること。
古いことに頑固に執着し、新しいものを嫌うこと。(広辞苑)
2 槇原 敬之
大ヒット・シンガーソングライターの
新たなモノサシ
SMAPが歌ってヒットした「♪世界に一つだけの花」や
「♪どんなときも」「♪もう恋なんてしない」など多くのヒットソングを
持つ、シンガーソングライター・
槇原敬之(まきはらのりゆき 1969〜)。
かつては日常の恋愛がテーマの曲が多くありましたが、最近は「世
界に一つだけの花」や「僕が一番欲しかったもの」など、生きるこ
とや人間のアイデンティティがテーマの曲、本人いわく“ライフソ
ング”を発表しています。 しかも、雑誌のインタビューで次のよう
に語っていました。
生き死にを考えるようになった。
僕の好きなお坊さんの言葉に
『他事を学ぶ前に、まず臨終を学べ』
っていうのがあって。必ず訪れる
“死”と、きちんと向き合えってことです。
(中略)
仏典って、僕にとっての新しいモノサシに
なってる。それでいて僕の歌がジジくさく
ならないのは、仏典がいつまでも古くならない
“魂の設計図”だからだと思う。
(情報マガジン『R25』2007年11月1日号) |
3 手塚治虫
12年がかりでお釈迦様を描く
医学の博士号を持つ、手塚治虫(てづかおさむ、1928〜1989)は、
ある時期、マンガは有害図書と非難を浴びたこともありましたが、
新たな道を次々と切り開き、それまでの表面的なマンガを深い内
面を持った物語に昇華させ、今日不動の地位を築き上げました。
「バンビ」の影響で「ジャングル大帝」を書き、それがまた「ラ
イオンキング」に影響を与えるなど、尊敬するディズニーと相互
に高めあったことも有名です。
その手塚治虫が「ブッダ」を書いた時、創作が多すぎるなどの非
難をあびながらも、「あくまで子供向けのマンガで仏伝そのもの
を描こうとしたものではない」として、一つのファンターとして
12年間で完結しました。お釈迦様については、次のように語っ
ています。
ぼくには何よりも率直に言って
すごい哲学者だということです。
いわゆる仏教の教えを説いた
宗教的カリスマであるというよりも、
哲学者として偉大である。
その深い広大な思想は、歴史を超え、
むしろ現代にこそ生かされなければ
ならない、実はもっとも新しい思想だと
思うのです。ブッダを書いて、
ぼく自身いい勉強になりました。
(毎日新聞1984,6,26)
|
4 棟方志功
20世紀の美術を代表する世界的巨匠
青森県出身の版画家・棟方志功(むなかた しこう 1903〜1975)
は、20世紀の美術を代表する巨匠として世界的に有名です。
第二次世界大戦中、富山県に疎開して浄土真宗にふれ、
仏教をモ
チーフとした作品を数多く生み出していることでも有名。
『阿弥陀如来像』『蓮如上人の柵』『御二河白道図』『我建超世
願』『必至無上道』など、数々の名作を残し、次のように言って
います。
いままでの自分が持っている
一ツの自力の世界、自分というものは
自分の力で仕事をするとうようなことから
いや、自分というものは小さいことだ
自分というものは、なんという無力なものか
何でもないほどの小さいものだという在り方
自分から物が生まれたほど小さいものはない。
そういうようなことをこの真宗の教義から
教わったような気がします。
棟方志功『板極道』
|
5 植木等
「およびでない?」「スーダラ節」の
国民的コメディアン
「お呼びでない?」で有名な、高度経済成長時代の日本を代表する
コメディアン・
植木等(うえきひとし、1926〜2007)は、2007年3月、
心不全で、80年の生涯を閉じました。
その植木等が爆発的な人気をうるきっかけとなったのが、有名な
「スーダラ節」です。
ところが、「スーダラ節」の楽譜を渡された時、植木等は「この曲を
歌うと自分の人生が変わってしまうのでは」と悩んだそうです。
僧侶であった父親に相談したところ、次のように励まされ、歌うこ
とを決意しました。
『人類が生きているかぎり、
このわかっちゃいるけどやめられない
という生活はなくならない。
これは親鸞聖人の教えに通じている。
そういうものを真理というんだ。
上出来だ。がんばってこい。』
|
この「スーダラ節」の爆発的ヒットの後、
植木等は、急上昇してゆきます。
このように、芸術の世界にも影響を与えている仏教には、
本当の「
生きる意味」が説かれています。
それを知る鍵となる仏教に説かれる「
苦悩の根元」を、
1冊の小冊子にまとめました。
まだの方には、ダウンロードURLとパスワードを送りますので、
今すぐご覧ください。
また、最新の情報もメルマガ(いつでも解除できます)で配信しています。
また、もっと詳しく知りたい方には、勉強会もあります。
仏教に学ぶ生きる意味 勉強会のご案内