7 社会
では、何か現代社会の役に立つのでしょうか
目次
1 シューマッハ
「仏教経済学」
スモール・イズ・ビューティフル
イギリスの世界的な経済思想家、
シューマッハ(Ernst Friedrich
Schumacher 1911-1977) は、1973年、オイルショックの年に
衝撃作『スモール イズ ビューティフル―人間中心の経済学』を
出版しました。すぐに各国語に翻訳され、途上国よりも、先進国
に新鮮な感覚をもって受け容れられ、世界的ベストセラーになり
ました。
その中で、再生不可能な資源に立脚する経済は愚かであり、再生
可能な資源に立脚すべきことを論じ、小さな範囲の中で自己循環
する
仏教経済を提唱しています。
さらに、
「これからは仏教の経済学を考えなくてはならない」と
述べ、次のように言っています。
シューマッハ(Wikipedia) |
「正しい経済成長の道は、唯物主義者の無頓着と
伝統主義者の沈滞の間の中道、つまり八正道の
『正しい生活』を見出すこと」
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『スモール イズ ビューティフル』は、今日、ニューエイジ経済
学の古典として、第二次世界大戦後もっとも影響を与えた100
冊に数えられています。
また、スモールイズ ビューティフル再論 (講談社学術文庫)には
次のように記されています。
「東方は真理の上に眠っており、欧米は過誤の
真只中に生きている。」
いちばん助けが要るのはだれだろうか。
疑いもなく、欧米である。
なんとなれば、いつ世界をぶちこわすこもしれない
悪魔的な力の意のままに突き動かされているからである。
仏教の八正道の一つに「正しい生活」かある。
したがって、仏教経済学があってしかるべきである。
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2 ロバート・サーマン
女優ユマ・サーマンのお父さん・米コロンビア大学の
ロバート・
サーマン(Robert Thurman 1941〜)教授は、米誌『タイム』の
「アメリカで最も影響力のある二十五人」の一人にも選ばれました。
ハーバード大学の学生だった時、カントやヘーゲル、 ヴィトゲン
シュタイン、ハイデッガー、フロイトなどの著作を読んでいるうち
に、 西洋哲学には飽き足らないものを感じるようになり、東洋に
自分の 求めているような真実や精神的な師に出会えるのではないか
と思うようになったそうです。
そして、ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』という小説や
いくつかの仏典を読んだことで、仏教には何かがあると
いう確信を深め、本格的に学ぶようになったそうです。
サーマン教授はいいます。
ロバート・サーマン(右)(Wikipedia) |
仏教への関心はアメリカにおいて
力強い伸びを見せています。
仏教は宗教というより、むしろ内面の科学、
あるいは心理学として受け止められる傾向があります。
2001年に同時多発テロが起こった時、
仏教に対するアメリカ人の反応には
若干の変化が見られました。
あの事件以後、遺憾ながら多くのアメリカ人は暴力を、
特にイスラム教徒に対して行使する権利があると
考えるようになりました。
仏教の標榜する非暴力は一種の弱さ、
あるいは真に愛国的ではないと見なされることもありました。
しかし、より知的で良識のある人々は、テロリストの
攻撃に対し報復的な暴力で応じることは、本質的な
意味では何事も成し遂げ得ないと認識するように
なりました。
単に膨大な出費と罪のない市民を巻き込む
非人道的な殺戮をもたらすだけであると。
ですから今日では仏教的な非暴力主義を
一層高く評価する人が増えていると思います」
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3 河原宏
政治学の早稲田大学名誉教授
東京生まれの政治学博士。現在、早稲田大学名誉教授の
河原宏
(かわはら・ひろし,1928〜)氏の専攻は日本政治思想史ですが、
その取り扱う時代の異様な広さは、要するに、「有史以来すべて」
古代ヨーロッパにおける「労働」の位置づけや、科学の問題まで、
縦横に論ずる学者です。
科学は、情から離れていき、理の面でも不完全であることが分か
ってきていますが、そんな中、河原氏は情、理、両面での仏教の
すごさに感嘆し、多くの日本人に知られている「諸行無常」の4
文字の奥深さを感じ、次のように語っています。
明らかに科学も永劫不滅の存在ではない。
「諸行無常」の摂理は科学をも支配する。
もちろん、同じ運命は、現在、金と力の優越によって
強盛をほこる超大国、その他、諸々の大いなるものの
運命をも支配している。
人間が持ちうる最も宏壮・雄大な歴史観、
それは「諸行無常」の一語に集約されている。
人は「奢れる者久しからず」の言葉を、
情としても理においても否定できないであろう。
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4 安斎育郎
放射線防護学、平和学の立命館大学名誉教授
安斎育郎(あんざいいくろう、1940〜)は、立命館大学名誉教授
立命館大学国際平和ミュージアム館長。専門は、放射線防護学、
平和学ですが、結構面白い人です。
長年、東大で教官(公務員)として勤めながら、「雇い主」日本
の原子力・核政策を激しく批判してきたことで知られています。
その一方、オカルト現象を批判・解明する「不思議博士」として
もその名が知られるようになりました。
『超常現象の科学』『だまされない極意』など、40冊以上の著
書があります。
立命館大学の授業では『華厳経』を、合理的、としてとりあげ、
サンデー毎日の連載にも、以下のように書いています。
仏教の大事な考え方に、「因縁因果の思想」がある。
「因」は直接原因、
「縁」は周縁的・背景的・間接的条件を意味する。
だから、「因縁因果の思想」とは、
「物事は、直接的原因と間接的条件が
重なって起こる」という非常に科学的な
考え方にほかならない。
原因もなく超常現象が起こることを容認する
「超能力志向」とは明らかに違う。
なんと合理的な考え方ではないか。
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5 ヨハン・ガルトゥング
平和学を開いたノルウェーの政治学者
中央大学、立命館大学などで客員教授を務め、平和学という学問を
開いたノルウェーの政治学者、
ヨハン・ガルトゥング(Johan
Galtung、1930〜 )は、数学と社会学の博士号をもち、29才で
オスロ国際平和研究所を創設。雑誌 Journal of Peace Research
の編集長として、ヨーロッパにおける平和研究を主導しました。平
和=戦争のない状態と捉える「消極的平和」に加えて、貧困、抑圧、
差別などの構造的暴力がない「積極的平和」を提起し、
平和の理解に画期的な転換をもたらしました。
1987年、もう1つのノーベル賞といわれるライト・ライブリフッド
賞を受賞しています。
その、ヨハン・ガルトゥングは、
犯罪者と被害者の関係に対する仏教的なアプローチが、社会秩序の
発展をもたらすと、次のように論じています。
ヨハン・ガルトゥング(左から二番目) (Wikipedia)
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今日、西洋世界では、政体としての国家が、
神の超越的な権威の世俗的な後継者と
なっています。このため、たとえば犯罪は、
しばしば国家または国民に対する犯罪と
呼ばれます。
その結果、犯罪者対被害者の関係は、
犯罪者対国家の関係に置き換えられました。
国家が裁判を行い、判決を下し、刑を執行するわけ
です。これはつまり、被害者も慈悲も姿を消し、
犯罪者へのこだわりと裁判の経過だけが後に
残るということです。
これとは対照的に、仏教による解釈とは
「犯罪者と被害者は一つの悪い業(カルマ)を
共有しており、両者はともにその悪業を転じな
ければならない。そして、それは事件について
内省する「内なる対話」、犯罪者と被害者の
間の「外なる会話」、そして道理にかなった
勤勉な努力によって達成される”というものです。
こうした仏教的なアプローチは犯罪者と被害者を
たがいに結びつけるものであり、それは今日
私達が知っているものよりも垂直的でない
(犯罪者と被害者をさほど差別しない)社会秩序
の発展をもたらすことでしょう。
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このように、大変注目を集めている仏教には、
本当の「
生きる意味」が説かれています。
それを知る鍵となる仏教に説かれる「
苦悩の根元」を、
1冊の小冊子にまとめました。
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